引用文

ふと氣が付いて見ると書生は居ない。澤山居つた兄弟が一疋も見えぬ。肝心の母親さへ姿を隱して仕舞つた。其上今迄の所とは違つて無暗に明るい。眼を明いて居られぬ位だ。果てな何でも容子が可笑いと、のそのそ這ひ出して見ると非常に痛い。吾輩は藁の上から急に笹原の中へ棄てられたのである。


『吾輩は猫である』

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吾輩は猫である